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前回はゲーミングPCを購入する際のCPU・GPUの選び方についてを記事にしました。
今回は、CPU選びに密接な関りがあるマザーボード選びについてです。
ぶっちゃけゲーム目的なら、AMDもIntelもBシリーズでいいんですが、マザーボードについて基礎から知りたい方向けで、表を眺めているだけではわかりにくい部分を言語化した解説記事です。
マザーボードとは
マザーボードは、パソコンを組み立てる基礎になる母艦のような役割を果たすのは、よく言われることです。様々な機器同士をつなぐハブのようなものだと考えるといいでしょう。
まず最初に、マザーボードのサイズについてです。
マザーボードのサイズ
現在、一般的に流通しているマザーボードのサイズには、E-ATX・ATX・Micro ATX・Mini-ITXが挙げられます。大きさは、E-ATX > ATX > Micro ATX > Mini-ITX の順です。
もっとも一般的に使われるマザーボードは、ATXで、その次がMicro ATXです。E-ATXやMini-ITXは特殊な部類に入ります。
E-ATXの例:MSI MEG Z790 GODLIKE
マザーボードのサイズと価格
ボードが小さくなると、基盤の配線難易度も上がりますので、機能が切り詰められたり、価格が上昇したりします。Mini-ITXのマザーボードが高いのはこのためです。
ただし、Micro ATXでは、単にATXの機能削減が行われることが多く、価格が下がる傾向があります。リーズナブルなため、自作初心者に好まれるサイズです。
Micro ATXの例:TUF GAMING B760M-PLUS D4
Mini-ITXの例:ROG STRIX B760-I GAMING WIFI
マザーボードのサイズとケース
初心者の方がわからないのは、ここでしょう。どのケースにどのマザーボードが対応しているのかわからないという問題をクリアする必要があります。
ショップの分類では、親しみやすいようにと配慮してか、フルタワー型、ミドルタワー型、ミニタワー型、スリム型、キューブ型だのと言った分類が一応存在するようです。
これらの呼称は無視してください。
全く役に立ちません。わかりにくいだけです。
上で述べたように、マザーボードのサイズは、E-ATX > ATX > Micro ATX > Mini-ITXの順で決まっています。
ケースにマザーボードが入るかどうかは、対応フォームファクタというところに、E-ATX・ATX・Micro ATX・Mini-ITX のどれが書いてあるかで判断してください。
どのサイズを選べばいいか
初めてPCを自作する方には、ATXサイズのマザーボードが一番オススメです。
機能が切り詰められることなく、USBポートが十分にあり、対応するPCケースも多いです。
Micro ATXも、初心者に人気がありますが、自作PCがわかってくると痒いところに手が届かない感じが出てきます。
具体的に挙げると、M.2のスロットが足りない、パーツが巨大なGPUに隠れてしまいSSDの交換が気軽にできない、USBポートが足りない、メモリ増設しようにもメモリスロットが2個しかないボードだった、などの問題が発生します。
やや大き目のケースで、ATXのマザーボードで組む、というのが初心者が自作PCで失敗しないためのポイントになります。
マザーボードとCPU
選んだCPUによって、使えるマザーボードの種類が決まります。Intelならこの型番、AMDならこの型番といった形です。
前回、年末年始の購入対象として選出したメーカー別にまとめると、およそ以下のような形になります。
Intel(12・13・14世代対応)
Intel12・13・14世代(12000番台・13000番台・14000番台)では、LGA1700というCPUソケット規格が使われています。BIOSの更新が必要なこともありますが、三世代で使えるマザーボードは共通しています。
また、Intelマザーボードは、DDR4メモリを使えるマザーボードと、DDR5メモリを使えるマザーボードが混在している状態です。購入時には、どちらのメモリ対応かをまずチェックしましょう。
DDR4・DDR5対応マザーボード どちらを選ぶべき?
DDR5・DDR4のどちらを選ぶべきかですが、性能が大きく異なるわけではないので、DDR4でも構いません。
しかし、今後メモリは、DDR5が前提になります。DDR5とDDR4の価格差は、発売当初と比べて縮まっています。メモリを再利用する可能性がある方やリユースの価値を考える方は、なるべくDDR5を選択しましょう。
チップセットの種類
2022年10月20日発売 | 2021年11月4日発売 |
---|---|
Z790 | Z690 |
H770 | H670 |
B760 | B660 |
– | H610 |
発売日はチップセットの初出時
一般的に、表の上にある方がグレードが高く、新しい方が高額です。
600番台のマザーボードを購入するときは、14000番台CPU対応BIOSに更新していますか?と質問した方がいいでしょう。
チップセットによる違いは、細かく上げればきりがありませんが、大体、以下のような特徴があります。
Z790・690
最上位の位置づけのチップセットです。
K・KF付きを購入した人はZシリーズにしたい欲が発生します。
単にゲーム目的ならK・KFを購入しないことにするか、欲望を抑えつけましょう。
H770・670
ZシリーズとBシリーズの中間に立つ、ほぼ見かけることのない幻のシリーズです。どうすんだこれ。
B760・B660
ゲーミングPCを組むとするならば、こちらのシリーズが第一候補になります。
PCIeを使う機器が大量にあったり、速度が出るUSBポート数が必要であったり、どうしてもM.2 SSDでRAIDが組みたいなどの事情があったりしない限り、こちらで十分な方が大半です。
H610
最廉価マザーボードです。小売店のオリジナルモデルも、さすがにこのチップセットを選ぶことは少ないです。たしかに、機能を削りすぎている感があります。
AMD(Ryzen7000・5000シリーズ)
新品での購入候補に挙がってくるAMDは、最新のRyzen7000シリーズとRyzen5000シリーズに分かれます。
前提として、Ryzen7000シリーズは、DDR5メモリしか利用できず、Ryzen5000シリーズはDDR4メモリしか利用できません。
AMD Ryzen7000シリーズ対応(オススメ!)
Ryzen7000が使えるマザーボードは、ソケットAM5対応と書かれています。前述のように、DDR5メモリのみの対応です。
PCに詳しい自作PCユーザーが買うのならば、Intelではなく7950X3Dか7800X3Dの二択!といわれるほど圧倒的な性能とワットパフォーマンスを誇るCPUを載せられるマザーボードです。
また、できるだけ長くプラットフォームを使用すると明言されており、次世代Ryzenに対応するだろうと言われています。
大前提の知識 E付きモデルとEなしモデル
Ryzen7000シリーズのマザーボードには、X670EとX670、B650EとB650など、Eが付いているモデルとEが付いていないモデルが存在します。
その違いは、Eが付いているモデルは、GPUとの接続方式がPCIe 5.0に対応しており、Eがないモデルは、PCIe4.0に対応している点です。PCIe5.0とか4.0とかよくわからん!という方もいらっしゃるかもしれません。PCIe5.0は最新の機器(GPUなど)との接続方式で、PCIe4.0より速い転送速度が出るものと思ってください(PCIeの世代が一つ進むたびに、転送速度が倍になると言われています)。
ただし、現在発売されている最高級GPUのRTX4090であっても、その接続はPCIe4.0で行われており、PCIe4.0の接続速度を最大まで活かしきれていないので、たとえ新世代のRTX5000シリーズが発売されたとしても、PCIe4.0までの対応で十分GPUの性能は発揮されるだろうと言われています。
ほかにも、M.2 SSDの接続方式がPCIe5.0か、PCIe4.0か、という違いがあるといわれていますが、B650のEなしモデルにも、PCIe5.0に対応しているマザーボードは存在します。
X670
最上級のモデルですが、実態は、B650のチップを2つ載せているマザーボードです。その分、装備が豪華になっています。
もちろん、電源フェーズも優れていますが、CPUのスコアが変わるほどの違いはありません。7000シリーズの消費電力が少ないことが一因であると思います。
B650
B650は、標準モデルの位置づけです。
周辺機器を大量につなぐことがない方には最適なモデルです。かといってインターフェースが貧弱なわけではないので、配信用機材程度ならば余裕でつなぐことができます(それが価格が高い理由でもあるのですが…)。
ゲーミングPCの素体として最適なモデルです。
A620
A620は、最廉価モデルで、2023年4月に発売されました。
CPUは素晴らしい出来なのに、マザーボードとDDR5が高価で売り上げが伸びなかったため、テコ入れとして投入されたモデルという印象です。
その後、DDR5メモリとB650の価格が下がりましたので、存在感が薄いというのが正直なところです。
AMD Ryzen5000シリーズ対応
AMDRyzen5000が使えるマザーボードは、ソケットAM4対応と書かれています。前述のようにDDR4メモリのみの対応です。
5700Xや5800X3Dなど、PCに詳しい自作PCユーザーが、コスパを求めるならこれ!と薦めるCPUたちが載ります。
メジャーなチップセットは、B550、X570、A520です。
これより過去のモデルも、5000シリーズが使える可能性がありますが、機能面や、BIOS更新の必要性など、複雑な事情が絡みますので、比較的新しいモデルに説明を絞ります。
B550
チップセットの格や機能的には、X570の方が上ではあるのですが、Ryzen5000シリーズを載せることを念頭に発売されたチップセットはこちらになります。
X570
Ryzen5000シリーズでは最も性能の高いチップセットです。しかし、価格が高く、B550よりも前に発売されていたことから、流通量が少なめです。
A520
需要があるのか、2023年になっても新製品が発売されている最廉価モデルです。とにかく安いですが機能面で見るとかなり厳しいところもあります。特に、ゲーミング用となると外部機器の接続数やSSDの読み込み速度などが物足りないと感じるでしょう。
マザーボードの価格が違う理由
なぜチップセットの型番が同じなのに、20万円以上するマザーボードと、2万円程度のマザーボードがあるのでしょうか。それには以下の表のような違いがあります。
上記のような理由が挙げられます。
あまりに豊富なインターフェース・DACを繋げば使わないサウンドチップ・巨大なグラボで見えなくなる装飾・あまり利用しないオーバークロックなど、諸々にお金をかけられるオイルキングでない限り優先度は高くありません。
どんなに高級なものでも、時代とともにPCの性能が上がり続ける以上、いつかは型落ちになります。
高いマザーボードは安定性が違うなどとも言われますが、液体窒素を使ってオーバークロックする人以外違いが判る人はあまりいないでしょう。
ゲーミング目的で考慮すべきは、使う機材分のインターフェースの確保・LANとWIFIの速度・見た目ぐらいでしょうか。つまり、B760・B660・B650のミドルクラスのマザーボードで十分です。
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