事例の経緯
一時期、XやRedditなどのSNSで、SK hynix Platinum P41やSOLIDIGM P44 Proの書き込み速度が低下する(以下低速病とする)という事例が報告されていました。
その内容は以下の通りです。
X上でも不具合が発生しているという報告が数件あるものの、その後の対応や流れについて詳細に書いている方があまりいません。
したがって、私が体験した事例について記事にしておこうと思った次第であります。
症状の例
このページにたどり着いた人は上記の経緯についてはご存じかと思いますので、さっそく私が経験した症例について書いていきます。
購入SSD
私が購入したSSDは、 SOLIDIGM P44 Pro 2TB です。
プロダクトコードは、 SSDPFKKW020X7X1 になります。
購入日は、2023年3月28日で、パソコン工房インターネット通販で購入しました。
時期としては、SOLIDIGMが「ソリダイム™ 春の超お得なトリプルキャンペーン」を実施していた時です。
(キャンペーンはZ690などのマザーボードとCPUや、それらを搭載したPCの購入履歴があれば、最大で12,000円分のVISA eギフト バニラがキャッシュバックされるというものでした。)
低速病の症状
P44Proは、シーケンシャルリードで公称7000MB/s、シーケンシャルライトで公称6000MB/sの速度が出るPcie4.0×4(gen4)接続のSSDです。
DRAMも備えており、数あるgen4 SSDの中でも最高峰に近い性能を誇ります。
しかし、低速病が発生すると、シーケンシャルライトの最大速度が大幅に低下し、2000~3000MB/s まで性能を落としてしまいます。
測定には、皆さんご存じの CrystalDiskMark8 を用いています。
P44Pro 実測値
P44Proに異常がない場合は、正常値の画像のように、6510MB/sという高速値をたたき出します。
しかし、低速病が発症すると、大体2500MB/s程度まで速度が低下します。
低速病が発生した場合の一時的な措置として、トリム・セキュアイレースなどを行うと症状が改善されるという報告があります。
私もSSDをトリムし、症状は一時改善されることとなりました。
低速病の再発
トリムで症状が改善したので安心していたのですが、それから一か月ほど経過すると再び低速病が再発します。
シーケンシャルライトが低速化し、2267MB/sまで落ちています。
※ランダム4K(Q32T16)の速度が速くなっていますが、各地のベンチ結果を拝見すると本来はこのぐらいの速度が出るのが通常のようです。
この時には、通常の使用でもOSの動作がなんとなく鈍く感じたり(SSDに爆弾を抱えているというプラシーボ効果の可能性大)、クロームのキャッシュが適切に読み込まれず、再読み込みしないとサイトを完全に表示できない現象が発生したり(クロームの不具合かもしれませんが)、機械学習のモデルデータ等の大容量ファイルのコピー速度が遅いなぁ…と感じていたりなど、様々な謎現象が発生していました。
システムドライブとして利用していたので、
低速病が起因でSSDがお陀仏したら洒落にならん
とSOLIDIGMのサポートを頼ることを決意しました。
RMA申請
パソコン工房のインターネット通販で購入していましたので、パソコン工房に保証を申請しようかと思いましたが、PCパーツ小売店の保証対応は、正直あまりアテになりません。
(メーカー保証書がない場合のドライブ類(HDD・SSD・光学ドライブ等): 10ヶ月と書いており、購入日は23年3月、不具合再発が24年の4月。パソコン工房の保証書はありましたが、保証期間の明記なし。)
よって、最初から5年保証を箱に明記しているSOLIDIGM本体のサポートを頼ることにしました。
RMA申請の流れも一応書いておきます。
上記URLに接続し、「保証とRMA」を選択
ページをスクロールして「SSD保証の確認」をクリック
箱裏シールのS/N:に続くシリアルナンバーを記載し、文字列認証を入力。
その後、「ケースの作成」をクリック
ケースを作成欄を埋める。
RMA申請自体に難しいところは特にありません。
その後、サポート担当者からの連絡を待ちます。
RMAでの難関
サポート担当者とやり取りをしつつ、RMA手続きを進めましたが、その中には3つ難関がありましたので対処法を含めて書いておきます。
なお、私のケースでは、新品との交換ではなく、購入代金全額の返金になりました。
海外送金の受取口座指定・・・難所➀
返金という結論になった場合、海外の金融機関からドルで振り込まれることになります。
その場合に、受け取る金融機関を指定することになりますが、その際に、ドル送金を円で受け取る場合の手数料をサポート担当者に伝える必要がありました。
手数料全額がSOLIDIGM負担になるため、正確な数字を伝えなければ返金額が減ってしまう可能性もあります。
利用した三井住友銀行は、サイトに丁寧なFAQがありましたので事なきを得ました。
しかし、地方銀行を指定する場合には、問い合わせが必要かもしれません。
私は、参考例として下記リンクをサポート担当者に送付しました。
各自参考にされてください。
最終的な返金額は、US$178.43+US$9.56=US$187.99でした。
DHLを利用して海外発送で返品・・・難所②
当然、不具合品の現物SSDは相手方に返送する必要があるのですが、返品先が海外になります。
普通の生活をしている人は海外に品物を送る機会などほとんどなく、大いに困惑する部分だと思います。
しかも、税関手続きのためのインボイスを添付しなければなりません。
私も、「これは詰んだか」と返品中止がよぎるぐらいには心理的ハードルがありました。
配送業者はDHLを指定されます。
名前を聞いたことはあれど、そんな業者を使った経験はもちろんありません。
しかし、ハードルが高そうに見えても、手続きはそれほど難しくはありませんでした。
DHL発送伝票、インボイスなどの書類
これらはサポート担当者が作成し、PDFで送付してくれます。
発送・通関書類全てが英語でかなりビビりますが、私たちがすることは単純で、3か所に署名をするだけです。
書類は、RMA請求者でおそらく共通だと思いますので、3か所の署名部分を画像で例示しておきます。
サポート担当者が送付してくれる書類は合計5枚です。
これらを印刷して封筒に入れ、返送用荷物の段ボールの側面などにテープで貼付します。
また、署名するべきところは赤い枠線で示しています。
一番最後の手配の詳細報告書や、インボイスの2枚目については、読んだ感じでは同封しなくてもよさそうな気がします。
ただ、こちらの勝手な判断で削って税関書類が足りないと言われて荷物が途中でストップしても困ります。
私は送られてきた書類全てをまとめて4つ折りにして封筒に入れ、荷物側面にテープで固定しました。
最寄りのDHL拠点から発送
さて、荷造りを終えたら後は発送するだけなのですが、DHLを利用して荷物の海外発送をするためには、DHLの拠点を探す必要がありました。
そこで、下記のサイトからDHLの拠点を検索しました。
が、ここで問題が発生します。
私が住んでいるのは九州のクソ田舎であるため、最寄りのDHL拠点が福岡県にしかありません(距離にして212キロありました)。
車でDHLサービスセンターに直接突撃することも頭をよぎりました。
しかし、たかが返品のためにそんな面倒くさいことはしていられません。
ほかに手段はないかとDHLのホームページを読んでいると、DHLの集荷可能エリア外から商品を発送する場合は、佐川急便がDHLの配送を請け負っていることが判明。
提携の仕組みもよくわからないので、結局はDHLのサービスセンターに荷物の持ち込み方法を電話で問い合わせることになります。
詳細は省きますが、九州の場合は、佐川急便 堺営業所 気付 DHL 宛に着払伝票を利用して荷物を発送するということでした。
最終的に、
➀SSDを段ボール(自分で用意したものでOK)に詰め、
②側面に税関書類をまとめた封筒を貼り付け、
③天面に佐川急便の着払伝票を貼り付けた状態で、
④最寄りの営業所に荷物を持ち込む
という過程を経て発送手続きを終えました。
海外送金受取口座の入力・・・難所③
荷物を発送してSOLIDIGMの倉庫に返品が完了し、しばらくすると、再びサポート担当者から口座情報を「Convera」というシステム(英語まみれ)に入力するようにというメールが送られてきます。
メールに添付された日本語マニュアルを読みつつ、何とか入力を終えました。
ただ、送られてきたマニュアルの日本語は滅茶苦茶で、フォントやインデントがずれまくっていました。
数か所は読解して類推する必要がありましたので、以下に注意すべきポイントを列記しておきます。
以上になります。
まとめ
果てしなく長い道程を経て、手続きが終わり、日本円にして28,366円(RMAの最中に神田財務官の介入で900円ほど目減り)の振り込みがされました。
元Intelのストレージ部門ということで、信頼してP44Proを購入したわけですが、日本法人が根付いてない海外メーカーの商品を自力でRMAすると、えらい目に遭います。
素直にパソコン工房のサポートに電話すれば一発で終わったのかもしれません。
しかし、海外発送や海外送金の受け取りという、稀有な体験をすることができました(ブログネタになって嬉しい)。
SOLIDIGMのP44Proをキャンペーンで購入した方は相当数いらっしゃると思います。
万が一低速病が発症した際に、このブログ記事が参考になれば幸いです。
(まぁベンチマークを回さない方は一生気が付かないわけですが…)
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